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NHK出版|WEBマガジン|主夫のトモロー page 17/18

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概要:
朱川湊人「主夫のトモロー」:家事や育児を通じて“主夫”トモローが直面する苦悩と出会いの毎日を描く、現代の「イクメン・婚活ブーム」に一石を投じる、痛快家族小説。

17いもの」そう、男と女の間には、深くて暗い河がある。たとえ両者の間に友情が成立したとしても、周囲はただの友情とは見てくれない。「それにしても、世の中にはヒマな人もいるわよね。火のないところに煙を立てて喜んでるんだから」「まったくですよ」育児友だちができたことを、自分がどれだけありがたく思っているか、きっと、その噂を流した人にはわからないだろう。「チーちゃんパパ、男の人で育児するのは大変だろうけど、頑張ってね……応援してるわよ」それだけ言うとメグちゃんママは、あっさりと去っていった。そのあっさり加減こそ、二人の間にやましいことなど何もない証拠と言えたが──どうせ噂を流した人間は、見てもいないだろう。(何で、こうなるんだよ……)チーコを抱きながら、トモローは呆然としていた。こんな調子では、これから育児友だちを作ることなんか、できそうにない。男の育児には、こんな落とし穴もあるのかと痛感した時──トモローは初めて、この世界で子供を育てるのは、決して楽なことではない……と思った。(つづく)