tomorou013

NHK出版|WEBマガジン|主夫のトモロー page 2/18

電子ブックを開く

このページは tomorou013 の電子ブックに掲載されている2ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
朱川湊人「主夫のトモロー」:家事や育児を通じて“主夫”トモローが直面する苦悩と出会いの毎日を描く、現代の「イクメン・婚活ブーム」に一石を投じる、痛快家族小説。

けれど顔見知りになってしまうと、公園に行くたびにメグちゃんママを見つけられるようになった。チーコはまだまだ赤ちゃんで、メグちゃんはもうすぐ三歳になるそうだが、育児のタイムテーブルは似たり寄ったりだ。公園に遊びに来る時間が重なるのも、不思議なことではない。「チーちゃんパパみたいに理解のある旦那さんだと、奥さんは幸せよね……私も仕事を続けたかったんだけど、旦那がどうしても家に入ってくれって言うから、会社を辞めちゃったんだ」何度か顔を会わせるうちに、そんな突っ込んだ内容も話すようになった。特に話題を振ったわけでもないが、話好きのメグちゃんママが、自分から楽しげに話すのである。「へぇ、メグちゃんママさんって、何の仕事をしてたんですか」歳下のトモローは、基本的にさん付けで呼んでいた。ちょっと言いにくいが、そこは気にしない。「私は、まぁ、アパレル系よ。好きな仕事だったから、辞めたくなかったんだけど……旦那とか、旦那の両親が頭の古い人でさ。女は家に入るのが一番いいとか、子供が小学校に入るまでは、絶対に母親がそばにいないとダメだとか言われちゃって」話を聞く限り、メグちゃんママに選択の余地はなかったようだ。「うちの旦那、何せ自分じゃ、お茶の一杯も淹れないような人なのよ。よくわかんないけど、そういうことをしたら男が廃すたると思ってるみたい」