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NHK出版|WEBマガジン|主夫のトモロー page 3/18

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朱川湊人「主夫のトモロー」:家事や育児を通じて“主夫”トモローが直面する苦悩と出会いの毎日を描く、現代の「イクメン・婚活ブーム」に一石を投じる、痛快家族小説。

「そんなことを言ったら、僕なんて廃りっぱなしですけどね」「そんなことで、何も廃りゃしないわよ……だいたいね、そういうことを言う男って、面倒くさい人が多いのよ。たとえば私の知ってる人で、絶対に奥さんには外で働かせないって息巻いてる人がいるの。そんなことをさせたら、自分の稼ぎが少ないんだって人に思われるから」メグちゃんママの何気ない言葉が、グサッとトモローの胸に刺さる。兄貴のゴローも、よく似たようなことを言っていたものだが──そういう考え方が、男としては普通なのだろうか。「何だか、いちいち人の目を気にしちゃってさぁ……結局は、自分の見栄みたいなものじゃないの。そういう人って、本当に疲れる」「でも、ある意味、それは奥さんを大切にしているから……とも言えるんじゃないですか」「そうかなぁ」目の前で遊んでいる子供を見守りながら、メグちゃんママは首を傾げた。「僕の兄貴も、よくそういうことを言いますけど、つまり相手に苦労をさせないってことが、幸せにするってことじゃないですか」その考え方で行くと、果たして自分が美智子を幸せにしているのかどうか、はなはだ心許ない気持ちになってくる。「でも……楽だったら、何でも幸せってことでもないでしょ。私も会社に行っていた頃は、