tomorou013

NHK出版|WEBマガジン|主夫のトモロー page 9/18

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概要:
朱川湊人「主夫のトモロー」:家事や育児を通じて“主夫”トモローが直面する苦悩と出会いの毎日を描く、現代の「イクメン・婚活ブーム」に一石を投じる、痛快家族小説。

「作る、作る」まるで激しく酸っぱいものを食べたような顔で、メグちゃんママは言った。「あんまり言いたくないけど……私のことを完全に無視してる人だっているのよ、この公園には」「えっ、そうなんですか?」「前に、砂場でちょっとした……ホントにくだらないトラブルがあってね。それ以来、私が挨拶しても、完全無視。しかも、その人だけじゃなくて、そのグループ全員が」「そんなことするなんて……誰なんですか」「名前なんか知らないけど、いつも三人くらいでつるんでる若いお母さんたちがいるでしょう」そう言われた時、頭の中に、ある若いお母さんたちの顔が浮かんだ。春先にチーコを公園に連れて行った時、トモローに声をかけてくれた人たちだ。(あの人たち……かな)その人たちは初めのうちこそ話しやすかったものの、トモローが何日も続けて公園に顔を出すようになると、露骨にトモローを避け始めた。その手のひらの返し方を見る限り、お世辞にも広い心の持ち主とは言えない気がする。「何があったんですか、トラブルって」「本当にくだらなくて、説明するのもバカバカしいわ」