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NHK出版|WEBマガジン|主夫のトモロー page 1/16

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朱川湊人「主夫のトモロー」:家事や育児を通じて“主夫”トモローが直面する苦悩と出会いの毎日を描く、現代の「イクメン・婚活ブーム」に一石を投じる、痛快家族小説。

『歳月、人を待たず』と漢詩に詠んだのは陶とう淵えん明め い( 陶とう潜せん)という御ご仁じんで、今から千六百年以上昔の言葉である。その頃から歳月は人を待ってくれなかったわけだが、もちろん今だって待つ気はないようだ。あれこれ悩もうが、あるいは何も考えずに過ごそうが、一日は二十四時間以上に増えもせず減りもせず、機械的に過ぎていく。特にやるべきことがテンコ盛りになっていて、毎日を追われるように過ごしていれば、時間の体感速度はどんどん速くなっていく。気がつけば一週間が過ぎ、さらに一か月が過ぎ──本当に一年程度の時間は、あっという間である。まさにトモローの生活も、そんな感じであった。チーコが成長するにつれて加速度が増していき、気がつけば季節が変わっている。赤ちゃんがいると、それぞれの月齢ごとに越えるべきハードルがあり、それに馴な れたと思ったら、すぐに別のハードルがやってくる。さらに春夏秋冬、季節によってもやるべきことがあって、それに病気などの突発的な出来事が加われば、本当にもうキリキリ舞である。もちろん、大変なことばかりではなく、うれしいこと、楽しいことも一緒にやってくる。トモローが熱血しちゃったワケ1