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NHK出版|WEBマガジン|主夫のトモロー page 10/16

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概要:
朱川湊人「主夫のトモロー」:家事や育児を通じて“主夫”トモローが直面する苦悩と出会いの毎日を描く、現代の「イクメン・婚活ブーム」に一石を投じる、痛快家族小説。

10(まったく人間っていうのは、どうして自分と違う生き方をしている人間を認めようとしないのかね)前にも言ったように、やはり平日の午後の公園では、お父さんは珍しい存在である。だから遊びに来ている子供たちも、興味を持って近寄ってくることが多い(特に男の子)。トモローはウェルカムなので、その子たちと話したりする。中には社交性のある子もいて、チーコと一緒に遊んでくれようとしたりもする。そういう子と会うたびに、トモローは日本の未来は明るいと思うのだが──たいてい、お母さんの方からダメ出しされてしまうのだ。「ほら、○○くん、そっち行っちゃダメって言ったでしょ」「知らない人に迷惑かけちゃダメよ」もちろん口では、子供に失礼なことをさせまいとしているように聞こえるのだが、実際はトモローを警戒しているのだ。きっと若いお母さんたちから見れば、平日の昼間から公園に子供を連れてきているトモローが、得体の知れない存在に見えているのだろう。あるいは、メグちゃんママのように、若い父親と親しくして、変な目で見られるのがイヤなのかもしれない。さもなければ、見ず知らずの人間と関わるのがイヤで仕方がないのだろうか。これは自分ではないが、以前、駅の近くに行った時、子供を自転車のハンドルにつけた補助席に乗せているお母さんがいて、その子が持っていた玩具を落としてしまったことがあった。たまたま近くを通りかかった中年の男性が、それを拾ってやろうと身を屈めると──そ