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NHK出版|WEBマガジン|主夫のトモロー page 13/16

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概要:
朱川湊人「主夫のトモロー」:家事や育児を通じて“主夫”トモローが直面する苦悩と出会いの毎日を描く、現代の「イクメン・婚活ブーム」に一石を投じる、痛快家族小説。

13に入ってきた。しかも、まっすぐこっちに向かってくる。「あの……すみません」いきなり話しかけられて、トモローは顔を上げた。その女性は砂場の端に立って、真剣な顔でこちらを見ていた。「その子、お子さんですよね」いやぁ、そこまでストレートに尋ねられたのは、さすがに初めてだ。「えぇ、僕の娘ですよ」そう答えると金髪の女性は、初めて笑った。が、それも口角をわずかに吊り上げるだけの、薄い笑いだ。「すごいですね。ちゃんと子供の面倒を見てるんですね」「自分の子供ですから……」そう、自分の子供なら、男だろうと女だろうと育てるのが当たり前。やってみさえすれば、どうにかなる。「いつも、この公園に来るんですか」「いえ、今日はたまたまというか……いつも来ているわけじゃありません」その質問の意図がわからないまま、トモローは答えた。「今日は、まだいるんですか」金髪の女性は矢継ぎ早に尋ねてくるが、なぜか顔が赤らんでいた。おそらく、知らない人