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NHK出版|WEBマガジン|主夫のトモロー page 14/16

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概要:
朱川湊人「主夫のトモロー」:家事や育児を通じて“主夫”トモローが直面する苦悩と出会いの毎日を描く、現代の「イクメン・婚活ブーム」に一石を投じる、痛快家族小説。

14間に話しかけるのが得意というわけではないのに、無理しているのだろう。(この人は、何が聞きたいのかな)トモローは不思議なものを感じながら、「いつまでいるかは、子供しだいです」と答えた。まさか、いわゆる逆ナンパされているんだろうか……と一瞬考えたが、すぐに否定した。自分に限って、それはないだろうな。「どうも、お邪魔しました」金髪の若い女性は、一通りの会話を終えるとペコリと頭を下げ、公園の入り口に止めた自転車に駆け戻っていった。(何なんだろう、あの人は)自分より、ずっと年下に見えたけれど、けっこうかわいい感じの人だったな……と、トモローはヤニ下がった。それから五分もしないうちに、すべてが理解できた。ガッチリとした体格の若い男が、二歳くらいの子供を抱いて、公園の入り口に姿を現したのだ。カーゴパンツにキラキラ光るスカジャンを羽織り、髪を真っ赤に染めていた。足元はサンダル履きだが、まるで何かのステップを踏んでいるような、独特の歩き方をしている。(うわーっ、絵に描いたようなヤンキーが来た)そう、その感想こそが、彼の雰囲気を手っ取り早く説明できるに違いない。どこから見ても、ヤンキー以外の表現が出てこないようなタイプなのだ。