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NHK出版|WEBマガジン|主夫のトモロー page 4/16

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概要:
朱川湊人「主夫のトモロー」:家事や育児を通じて“主夫”トモローが直面する苦悩と出会いの毎日を描く、現代の「イクメン・婚活ブーム」に一石を投じる、痛快家族小説。

くしたりもしているが、離乳食を作る手間に比べれば、たいしたことではない。離乳食作りも慣れれば難しいことではなかったのだが、朝、家族そろって食卓を囲もうと思えば、それなりに忙しくもあったのだ。朝食を作っている間に、寝室の方から美智子とチーコがもぞもぞやっている気配が伝わってくる。トモローが立ち働いている音でどちらかが先に目を覚まし(たいていはチーコのようだが)、何やらイチャイチャしている間に、二人とも目を覚ますという具合だ。「トモくん、おはよう」「おはよぉ」やがて二人そろって、台所に顔を出す。同じように前髪が逆立っているのは、さすがに親子と言うべきか。それなりに時が経ったけれど、美智子とトモローに外見的な変化はない。美智子のヘアスタイルが長めのものに変わり、トモローのメガネが丈夫なセルフレームのものに変わったくらいのものだ(ちなみに先代のメガネは、チーコが一歳のときにおもちゃにされ、ポッキリとツルの部分を折られてしまった)。厳しい目で見ると美智子が若干ふくよかになったが、それは絶対にしてはいけない話題になっているので、ここでもスルーしておく。それに比べて、チーコの変貌ぶりは激しい。生まれた直後は、従兄弟たちに「お雛さま似」「おもち似」と言われていたチーコだが、