tomorou014

NHK出版|WEBマガジン|主夫のトモロー page 5/16

電子ブックを開く

このページは tomorou014 の電子ブックに掲載されている5ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
朱川湊人「主夫のトモロー」:家事や育児を通じて“主夫”トモローが直面する苦悩と出会いの毎日を描く、現代の「イクメン・婚活ブーム」に一石を投じる、痛快家族小説。

月齢を重ねる間に、どんどん顔が変わっていった。毎日見ていると実感するのは難しいが、ことあるごとに撮影した写真を並べてみると、その変化は歴然としている。ぱっと見た印象は美智子に似ているが、目元にトモローの特徴がどんどん現れて来ているのだ。まさしく夫婦二人の顔の合成が、チーコの顔の上で行われているのが確認できる。(よりによって、一番目立つパーツが俺に似てしまったか……)どうせなら美智子のパッチリとした目を受け継げばよかったのに……と思わないでもないが、それでもかわいく思えるのだから、別にいいか。「よーし、ごはんにしよう」暖かいおかずができたところで、家族そろってご飯を食べる。仕事が通常勤務になった美智子は、遅く帰ってくることが当たり前になった。チーコは遅くとも九時には夢の中にいるので、起きている時に会えないことも多い。だからこそ朝は、必ず家族全員で食べることにしていた。その後、食器の片づけを終わらせて、トモローがチーコの相手をする。その間に美智子は、〝女の武装〟である化粧を終わらせ、身支度を整えて会社に行く。チーコと二人になったトモローは、午前中のうちに洗濯などを終わらせ、できれば一度、外に連れ出す。それだけで、昼寝の深さが変わるのだ。正午少し前に昼食を済ませると、チーコは自動的に……と言ってもいいくらい、眠そうな顔になって、たいていの場合は、そのまま寝入ってしまう。