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NHK出版|WEBマガジン|主夫のトモロー page 7/16

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朱川湊人「主夫のトモロー」:家事や育児を通じて“主夫”トモローが直面する苦悩と出会いの毎日を描く、現代の「イクメン・婚活ブーム」に一石を投じる、痛快家族小説。

日は来てくれる)、遊んでもらっている間に夕飯の支度をしてしまう。考え方はいろいろだが、子供が小さいうちは、親が近くにいてくれるのは本当にありがたいことだ。「トモローくんが、ちゃんとした人で良かったわぁ」一時期、トモローが家にいてチーコの面倒を見ることに難色を示したお義母さんだったが、この頃になると事あるごとに、そう話すようになった。「男の人で、こんなに家事ができる人も、いないわよ」そんなこともなかろう……とトモローは思うのだが(あるいは、お義母さん世代の男性限定の話かもしれない)、そう思ってもらっておいた方が都合がいいので、特に反論もしない。お義母さんの気持ちが軟化したのは、やはり口でいろいろ並べるよりも、既成事実を作ってみせたからだと思うが──実は、お義母さんと美智子の関係が、いまだに完全にしっくりいってないせいもあるのではないかと思う。基本的には仲のいい親子なのだが、だからこそ美智子も、お義母さんには遠慮がない。なおかつお義母さんも、思ったことは全部口に出してしまうタイプなので、けっこうな?度でケンカするのだ。トモローがケンカの原因を聞くと、「そんなくだらないことで?」と言いたくなる場合がほとんどで、どちらかが少しだけ譲歩したり、気の遣った言い方をすれば、起こらなくても済むケンカばかりである。けれど当事者は、なかなか、そういうところまで気が回らないようで──同じようなことが原因で、何度もケンカを繰り返すのだ。