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NHK出版|WEBマガジン|主夫のトモロー page 8/16

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朱川湊人「主夫のトモロー」:家事や育児を通じて“主夫”トモローが直面する苦悩と出会いの毎日を描く、現代の「イクメン・婚活ブーム」に一石を投じる、痛快家族小説。

そういう時に間に入るのが、自然とトモローの役割になっていた。時にはそれぞれの愚痴を個別に聞いたり、場合によっては仲直りの手伝いをしたりする。まぁ、いつの間にか婿らしくなっていた、というわけだ。ふり返ってみると、トモローの主夫生活は、ある意味で順風満帆と言えなくもなかったが──多少の悩みのようなものもないではない。例のメグちゃんママの一件以来、育児友だちがいなかったことだ。もっとも、どうしてもいなくてはならない……というものでもない。実際、その年頃の子供たちを一緒に遊ばせても、結局は別々の遊びを好き勝手にやっているだけで、お世辞にも〝一緒に遊んでいる〟という感じはない。けれど、二歳を過ぎたあたりになると──何となく、友だちがいた方がいいのではないか……と思えてくる。この先、どうしたって他人と関わって生きていくのだから、その練習も始めた方がいいように思えてくるのだ。きっと専門家に言わせれば、そういうことは子供によって個人差があるので、特に急がなくてもいい……という答えが返ってくるのだろうが(実際、育児雑誌にそう書いてあった)、自分のせいでチーコが同じ年頃の子供と一緒に過ごせないのではないかと思うと、トモローはどうしても気持ちが重くなるのだ。たとえば自分が男でなかったら、当たり前に主婦同士のコミュニティーに入れてもらえて、その中でチーコも、同じ年頃の子供たちと遊べただろうか。早くから社交性が芽生えて、幼