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NHK出版|WEBマガジン|主夫のトモロー page 9/16

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朱川湊人「主夫のトモロー」:家事や育児を通じて“主夫”トモローが直面する苦悩と出会いの毎日を描く、現代の「イクメン・婚活ブーム」に一石を投じる、痛快家族小説。

稚園や学校に入っても困らないくらいにオープンな性格になり、ひいては、それが人生の大きなプラスになってくれるのではないだろうか。そう思うとトモローは、チーコに対して申し訳ない気にもなった。自分の生き方が、子供の足を引っ張るようなことになってほしくないと思っているのに──これはどう見ても、足を引っ張っているのではないかと思う。けれど──そう思っているのは、何も主夫0 0 ばかりではなかったのだ。チーコが二歳半を過ぎた春先のことだ。その日の午後も、トモローはチーコと一緒に公園で遊んでいた。家から二十分ほどのところにある、人ひと気け の少ない公園だ。 そこは十分に広いのだが、あまり子供の目を引く遊具がないせいか、あまり人がいるのを見たことがない公園だった。近くに日当たりが良く、かつ設備の整った公園があるから、たいていのお母さんは、そっちを選ぶのだろう。その公園は、滑り台とジャングルジム、あまり広いとは言えない砂場があるだけで、古くて大きいマンションの裏なので、日が陰るのが早かった。普通ならトモローも、その公園でチーコを遊ばせようとは思わないが、ここに来る前に行った公園で例によって異端者扱いされてしまったことで、心が若干塞いでしまい、その公園に移ってきたのだ。