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NHK出版|WEBマガジン|主夫のトモロー page 11/16

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朱川湊人「主夫のトモロー」:家事や育児を通じて“主夫”トモローが直面する苦悩と出会いの毎日を描く、現代の「イクメン・婚活ブーム」に一石を投じる、痛快家族小説。

11金髪の奥さんに会った時間に近いので、場合によっては再び顔を合せてしまう可能性がある。それで困ることはないが、少しばかり気詰りにも感じた。だからと言って引き返したり、わざわざ別のルートを通るのも納得がいかなかった。(そもそも、俺がコソコソする必要なんてないし)もともと、何の約束もしていないのだ。あの公園に顔を出さなくなったとしても、それで責められる筋合いではない。まぁ、もし会ってしまったら、ちょっと会釈の一つもすれば済むことだ。そう思いながら自転車で例の公園の横に差し掛かると──例の赤い髪の父親と、エーちゃんが砂場にいるのが見えた。その公園は相変わらず不人気らしく、他の人間の姿は、まったく見えない。(うわっ、やっぱりいるぞ)見たところ、金髪の母親の方はいないようだ。(今日は……一人で連れてきたんだ)こういう場合、気づかれないうちに走り去るのがいいのだろうが、なぜかトモローは、逆にスピードを落としてしまった。遠目に見る二人が、どことなく寂しげにも見えたからだ。(きっと俺も、そう見られているんだろうなぁ)公園の端の砂場で、赤い髪の父親は、何かの一つ覚えみたいに砂のプリンを作っていた。エーちゃんは、嬉しい時に見せるであろう屈伸運動をすることもなく、なぜかボンヤリと近