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NHK出版|WEBマガジン|主夫のトモロー page 16/16

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概要:
朱川湊人「主夫のトモロー」:家事や育児を通じて“主夫”トモローが直面する苦悩と出会いの毎日を描く、現代の「イクメン・婚活ブーム」に一石を投じる、痛快家族小説。

16のために、そんなことでサバを読む必要があるのだろう。「実は……女房は、そのママ友がいないのを、笑っちゃうくらいに気にしてるんスよ。だから、それに気づかれないように、わざわざ越してきたばっかりだって言ったんです」「あぁ、そういうこと」やっぱり、どうでもいいことのように思えて仕方がない。ましてや、それで謝られたところで、いったいどういうリアクションを返せばいいのやら。(別にママ友がいるかいないかなんて、気にするようなことでもないと思うけどな)そんなことを考えていると、何の前振りもなく、さらに返答に窮する質問をぶつけられた。「そういえば斉藤さん……俺の顔って凶悪っスかねぇ?」「えっ!?」「交番に貼ってある指名手配の犯人みたいな顔してるって、よく女房には言われるんスけど、やっぱり斉藤さんも、そう思いますか?」奥さんには九割九分九厘ほど同意するが、果たしてそれを、口に出しても大丈夫なんだろうか。「いやぁ、何と言えばいいかなぁ……」わかりやすくトモローは口ごもり、やがて思い切って答えた。「若干、その傾向があるのは否定できないかな……」その言葉にエーちゃんの父親は、ギロリと目を?いた。 (続く)