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NHK出版|WEBマガジン|主夫のトモロー page 2/16

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朱川湊人「主夫のトモロー」:家事や育児を通じて“主夫”トモローが直面する苦悩と出会いの毎日を描く、現代の「イクメン・婚活ブーム」に一石を投じる、痛快家族小説。

た美智子が遅い食事を終えたところだ。「その武たけ井い さんの旦那さんっていうのが……ちょっと俺の苦手なタイプでさ」公園で会った若夫婦は、武井と名乗った。子供はチーコと同じ二歳で、永えい吉きちという名の男の子──当然、呼び名は〝エーちゃん〟である。「何で? トモくんは……ヤンキーみたいな人っていうか、いわゆる不良っぽい人には、免疫があるでしょ」つまり兄貴の吾郎が、バリバリにその系統なのだから平気だろうと美智子は言うのだ。「まぁ、あぁいう人たちも、ひと皮むけば普通の人だっていうのは、承知しているんだけどさ……その旦那さん、ちっとも笑わないんだよな」「それは、向こうも照れてるからじゃないの? 人見知りなのよ、きっと」「あれが照れてるって顔かなぁ……」トモローは昼の公園での出来事を思い出しながらつぶやいた。おそらくは奥さんに言われて渋々やってきたに違いない赤い髪の青年は、トモローたちが遊んでいた砂場の縁に腰を下ろした。その時、顔を上げたトモローと目が合い、挨拶を交わしたのだが──その時の彼の目は見事な三白眼で、明らかにこちらにプレッシャーを掛けようとするものだった。態度もどこか横柄で、もしかすると、こちらを快く思っていないのではないか……とも感じさせた。言うまでもなく、トモローは徹底した平和主義者である。