tomorou015

NHK出版|WEBマガジン|主夫のトモロー page 6/16

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朱川湊人「主夫のトモロー」:家事や育児を通じて“主夫”トモローが直面する苦悩と出会いの毎日を描く、現代の「イクメン・婚活ブーム」に一石を投じる、痛快家族小説。

「……で、言っちゃ悪いのかもしれないけど、ちょっとウンザリしちゃったな」「何だか、かわいいお父さんね」話を聞いていた美智子は、楽しそうに体を揺すって笑った。あの赤い髪の男がかわいいだなんて、それこそ直接見ていないから言えるのだ。「それで、どうしたの」「いや、ちょっとだけ遊んで、適当なタイミングで帰ったよ。プリン作り競争をする気は、俺にはなかったからさ」「ふーん。愛想ナシなのね。自分だって、育児の話ができる友だちが欲しいって言ってたくせに」「そりゃあ、確かに言ったけどさ……でも、誰でもいいってわけじゃないよ。やっぱり話が合いそうな人じゃないと」「そのお父さんとは、ほとんど話してないんでしょ? もしかしたら、意外に話が合うかもよ」どういうわけかメグちゃんママの時とは、ずいぶん美智子の風向きが違うような気がする。「いや、そういうのって、やっぱり第一印象がモノを言うから……それに、俺があの人たちと仲良くなったら、つまりは奥さんとも仲良くなるってことだけど、それはいいの?」「旦那さんが一緒だったら、文句言うわけないじゃない。その人たちと、友だちになればよかったのに」