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NHK出版|WEBマガジン|主夫のトモロー page 14/20

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朱川湊人「主夫のトモロー」:家事や育児を通じて“主夫”トモローが直面する苦悩と出会いの毎日を描く、現代の「イクメン・婚活ブーム」に一石を投じる、痛快家族小説。

14たんですよ」「あいつ、そんなことで電話かけたんッスか。いやぁ、すみませんね、斉藤さん。わざわざ来てくれたんッスか」「放っておくわけにもいかないからね」「なに、心配いらないッスよ。連中、シャバ僧ばっかりですから」武井は鼻息を荒くして答えた。「シャバ僧って、どういう意味?」「あー、全然大したコトないって意味ッス。頭数は俺たちより多いですけど、どうってこと、ないですよ」「いやいや、相手がどうだろうと、ケンカはやめなよ。このまま一緒に帰ろう……そうだな、俺は遠縁の親戚で、おじいちゃんが倒れたから迎えにきたとか何とか言えば、お友だちも納得してくれるんじゃないかな」「納得してくれっこないッスよ」武井は笑って答えた。その笑顔が、何だか懐かしく感じる。「もしかすると斉藤さんには、わからないかもしれないッスけど……ここで逃げたら、男が廃すたるんッスよ。俺、永吉には、そんな男になってほしくないッスから。あいつには、どんな不利な状況でも、逃げ出さない男になってもらいたいッスから……親の俺が逃げてたら、あいつに顔向けできないじゃないスか」