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NHK出版|WEBマガジン|主夫のトモロー page 3/20

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概要:
朱川湊人「主夫のトモロー」:家事や育児を通じて“主夫”トモローが直面する苦悩と出会いの毎日を描く、現代の「イクメン・婚活ブーム」に一石を投じる、痛快家族小説。

そう思うと、ある程度、そういう遊びに飽きているくらいのタイミングが、育児にはちょうどいいのかもしれない。(でも、どれだけ遊べば十分かっていうのも、わからないからな)結局、考えているうちに、そんな堂々巡りに陥ってしまう。個人の素養の違いが大きい事柄を一般化して、ひとまとめに語ってしまおうとすることそのものに、無理があるのだ。自分より子供を優先させる人は、自分が何歳になっても子供のことを先に考えるだろうし、分別があって当然と思われるくらいの歳になっても、自分の楽しみばかりを追求する人間もいる。(何にしても……彼らとは、短い付き合いだったな)少しケンカしたくらいで、二度と会わないと決意することもないかもしれないが、少なくとも自分から武井夫妻に連絡を取るのは控えよう……と、トモローは思った。育児に対する考え方が違うことは明らかだし、付き合いを続けていたら、きっと同じようなことで怒ってしまうことが再びあるに違いない。そんなのは武井夫妻も気詰りだろうし──何より育児友だちというのは、無理してまで続けるようなものでもないと思うのだ。だからトモローは、武井夫妻に連絡を取ることはなかったが、相手もそう思っているのか、特に向こうから電話がかかってくるようなこともなかった。また公園で行き会ったりするのも気詰りに思えたので、トモローはなるべく武井家の近くの公園には行かないようにし、逆に今まで足を伸ばさなかった方角にある公園を開拓したりしていた。