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NHK出版|WEBマガジン|主夫のトモロー page 1/14

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概要:
朱川湊人「主夫のトモロー」:家事や育児を通じて“主夫”トモローが直面する苦悩と出会いの毎日を描く、現代の「イクメン・婚活ブーム」に一石を投じる、痛快家族小説。

雨降って地固まる……というわけではないかもしれないが、ケンカの一件があってから、トモローと武井の距離は、ぐっと縮まった。というより、トモローが地元の不良少年の星〝イナヅマ☆ゴロー〟の弟であると知られてから、やたらと武井の方が親しみを込めて接してくるようになったのだ。それまで〝斉藤さん〟と呼ばれていたのが、いきなり〝トモローさん〟になったのも、その効果の一つではないかとトモローは思っていた。「トモローさん、大変ッスよ! 今日の午後、隣のN駅前のスーパーに、『野菜戦隊ベジレンジャー』が来るらしいッス」そんな情報も持って来てくれるようになり、もう完全に頼れる育児仲間である。「えっ本当? うちのチーコは、べジピンクの大ファンなんだよね」「一緒に行きましょうよ。車、出しますから」「いつも悪いねぇ」ちょっと功利的かもしれないが、武井が車を持っているのもありがたかった。免許を持っていないトモローは、どこに行くにも自転車やバス、電車が基本だったが、彼トモローが風に歌ったワケ1