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NHK出版|WEBマガジン|主夫のトモロー page 10/14

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概要:
朱川湊人「主夫のトモロー」:家事や育児を通じて“主夫”トモローが直面する苦悩と出会いの毎日を描く、現代の「イクメン・婚活ブーム」に一石を投じる、痛快家族小説。

10積みなのだ。たとえ半日かけて掃除をしても、何日かすれば元に戻ってしまう。子供に昼ご飯を食べさせるそばから、夕ご飯のことを考えなくてはならない。もちろん、子供から目を離すこともできない。小さいうちは遊び相手になってやらなくてはならないし、できれば外に連れ出す必要がある。きっと小学校に上がってくれれば、そういう苦労からは解放されるのかもしれないが、その時はその時で、他のやるべきことが増えているだろう。少なくとも家事はエンドレスという点だけでも、オンとオフが付けられる会社勤めより大変だと思うのだが──さて、それをこの場で、言っていいものかどうか。ヘタをすると、武井や会ったことのない小暮さんのご主人から、自分は裏切者呼ばわりされてしまう可能性だってある。「……まぁ、どっちも大変ですよねぇ」とりあえず無難な回答をしておくに越したことはない。そんな話をしていると、公園の中を走り回っていた二人の男の子が、こちらに向かってくるのが見えた。二人とも五歳くらいで、もう普通の滑り台の方が面白いだろうに、なぜか人が滑っていると、やりたくなるものらしい。(おっ、これは気をつけないといけないかもな)トモローは反射的に小さな滑り台に近づいた。何せ小さな子供というのは、遊んでいる時には周囲が見えなくなる。中には自分より小さ