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NHK出版|WEBマガジン|主夫のトモロー page 12/14

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朱川湊人「主夫のトモロー」:家事や育児を通じて“主夫”トモローが直面する苦悩と出会いの毎日を描く、現代の「イクメン・婚活ブーム」に一石を投じる、痛快家族小説。

12「ノロマだなぁ、こいつ」悪気があるんだか、ないんだか──その判断は簡単にはつけられないが、そんな言い方を、親が家でしているのだろう。「おいおいキミたち、後から来て、それはないだろ」トモローはやんわり抗議した。「この子はキミたちより小さいんだよ。キミらは何でも早くできるかもしれないけど、だからって、そんなふうに言っちゃ」ダメだよ……と言おうとしたところで、目の端で小暮さんの右手が動くのが見えた。その顔はさっき以上に赤くなっている。(うわっ)トモローは素早く手を伸ばし、振り落ろされた小暮さんの細い手首を掴んだ。いくら子供をバカにされて腹が立ったからと言って、大人が小さい子に手を出してはいけない。「それはちょっと……まずいですって」小暮さんの掌は、片方の男の子の?に当たる直前だった。「すみませんっ」ほんの数秒、顔を見合わせると、小暮さんは慌てたようにトモローの手を振りほどいた。「私、帰ります。ごめんなさいっ」いきなりそう言うと、小暮さんはエミコちゃんの手を引いて足早に歩き始め、途中から走