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NHK出版|WEBマガジン|主夫のトモロー page 2/14

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朱川湊人「主夫のトモロー」:家事や育児を通じて“主夫”トモローが直面する苦悩と出会いの毎日を描く、現代の「イクメン・婚活ブーム」に一石を投じる、痛快家族小説。

が車を出してくれると、今まで行くのを躊躇していたところにも簡単に足を伸ばせるから、大助かりだ。もちろん、一方的に負担させるわけにもいかないので、遠出した時はガソリン代の半分を持つとか、ファミリーレストランで奢るとか、できる限り平等になるように心がけた。完全には平等というのは難しいかもしれないが、こういう場合、気は心だ。一方が一方に甘え切るようなことをしていると、友だち付き合いは長続きしない。また、ある程度の距離感を保つことも大事だ。毎日顔を会わせたり、何をするにも一緒……というのは、早々にくたびれてしまう原因になるので、意図的に顔を会わせない時間を作るべきだ。何かの折にトモローがそう言うと、武井は目を丸くして答えた。「さすが、トモローさんは頭がいいッスね……俺は何でも一緒にやるのが友だちだと思っていましたから、そういう先読みした考え方は出てこないッスよ。ホントにさすがッス」何だか小バカにされているような気もしたが、考え過ぎると無駄に拗こじれるのが世の常なので、トモローも額面どおりに受け取っておく。そう決めたせいで……か、どうかはわからないが、武井との関係は良好だった。さらに折を見て武井夫妻と美智子を引き会わせると、美智子は武井の妻のノリコが大いに気に入り、すぐに愛称で呼び合う仲になった。どういうわけか美智子は、若い女の子が好きなのだ。