tomorou018

NHK出版|WEBマガジン|主夫のトモロー page 3/14

電子ブックを開く

このページは tomorou018 の電子ブックに掲載されている3ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
朱川湊人「主夫のトモロー」:家事や育児を通じて“主夫”トモローが直面する苦悩と出会いの毎日を描く、現代の「イクメン・婚活ブーム」に一石を投じる、痛快家族小説。

「ノンちゃん0 0 0 0 0 は、なかなか美的センスあるわよ。話していると、けっこう参考になるわ」美智子は仕事で若い女性向け店舗の内装デザインもしているので、その参考にする……というところもあるのもしれないが、もともと彼女は、誰とでも友だちになるのが好きだ。そんなふうにトモローの育児生活は、以前に比べると、ずっと楽しいものになったのだが──彼女がやって来たのは、ちょうどそんな時だ。「チーちゃんパパさん、こんにちは」公園でチーコを遊ばせているトモローの元に武井の妻がやって来たのは、九月半ばを過ぎた、風の心地よい午後のことだった。「こんにちは、ノンちゃん。武井ちゃんは仕事かい?」その頃には美智子に倣って、武井の妻を〝ノンちゃん〟と呼ぶようになっていた。夫の方は以前同様に姓で呼んでいるが、〝さん〟付けが〝ちゃん〟付けに変わったのが、それなりに親しくなった証拠だろうか。「そうなんですよ。今日から始まった現場が昼間なんで」「今度は昼なんだ。よかったね」武井は道路工事を生なり業わ いにしているが、現場によって、作業時間が昼になったり夜になったりすることが当たり前だった。場合によっては夜の十時くらいから始めて、明け方まで働くこともあるという。