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NHK出版|WEBマガジン|主夫のトモロー page 4/14

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朱川湊人「主夫のトモロー」:家事や育児を通じて“主夫”トモローが直面する苦悩と出会いの毎日を描く、現代の「イクメン・婚活ブーム」に一石を投じる、痛快家族小説。

どの時間帯になっても労働は八時間前後だが、やはり開始時間がコロコロ変わることは、それなりに負担がかかるようだ。何より、寝る時間や起きる時間がまちまちになってしまうので、規則正しい生活をするのが難しくなる。以前は息子のエーちゃんも親の不規則な生活に付き合わされていたが、トモローがケンカ覚悟で注意したことで、どうにか子供優先の生活に切り替える気になったらしく、それ以来、エーちゃんはきちんと早寝早起きの生活習慣を続けているそうだ。「ちょっと紹介したい人がいるんですけど……いいですか?」ノリコはそう言うと、特にトモローの返事を聞くこともなく、少し離れたところに立っていた女性を呼んだ。三十歳くらいの痩せぎすの女性で、三歳くらいのぽっちゃりとした女の子を連れている。どことなく地味で、おとなしそうな印象の人だった。「小こ暮ぐれさん、こちらがトモローさんよ……言ったとおり、優しそうな人でしょう」おずおずと近づいてくる女性にノリコは言ったが──あからさまに褒められると、さすがにやりにくいものを感じる。「ノンちゃん、そういうプレッシャーをかけないでよ。話しにくくなるじゃんか」「そうですか? でもトモローさんが優しいのは、本当でしょ」そういうのがプレッシャーなのだが、話が堂々巡りをしてしまいそうなので、あえて何も言わなかった。「初めまして、小暮と申します。こっちは……娘のエミコです」