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NHK出版|WEBマガジン|主夫のトモロー page 5/14

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朱川湊人「主夫のトモロー」:家事や育児を通じて“主夫”トモローが直面する苦悩と出会いの毎日を描く、現代の「イクメン・婚活ブーム」に一石を投じる、痛快家族小説。

ノリコに紹介された女性は、小さな声で言ったが──その顔は、まるで燃えているかのように赤かった。(うわぁ、すごく赤くなってるな)一瞬、自分があまりにカッコいいからだろうか……とおめでたいことを考えたが、まぁ、それはないだろう。もしかすると、ご主人以外の男性と話すのが久しぶりなのかもしれない。子育て中の主婦には、そういう人も珍しくない。「こんにちは」母親に紹介されたエミコが、きちんとお辞儀して挨拶した。まだ小さいのに、よく躾しつけられている。人なつっこい笑顔をした、かわいい子だった。「こんにちは、斉藤です。こっちは娘のチサトで……ふだんはチーコって呼んでます」エミコを意識してか、チーコもお辞儀らしいものをするが、どういうわけか膝ごと曲げて、しゃがみ込むような姿勢をとっていた。たぶん、お辞儀というものを理解していないのだろうが、かわいいから許す。「小暮さんは、七丁目に住んでるんですって。この間、駅前のスーパーの子供コーナーで知り合ったんですよ」「あぁ、あの三階のね」駅前にある大手スーパーの三階には、ビニールクッションで囲まれた子供コーナーが設けられてあり、その中で小さな子供を自由に遊ばせることができる。日曜などに行くと、買い