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NHK出版|WEBマガジン|主夫のトモロー page 8/14

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朱川湊人「主夫のトモロー」:家事や育児を通じて“主夫”トモローが直面する苦悩と出会いの毎日を描く、現代の「イクメン・婚活ブーム」に一石を投じる、痛快家族小説。

素直にトモローが口にすると、小暮さんは顔を赤くしたまま言った。「一人っ子なんですけど、小さい子が好きなんですよ。妹が欲しいって、しょっちゅう言ってます」ここで、「じゃあ、がんばらなくちゃいけませんなぁ。ふふふふ」なんて言った日にはセクハラになるので、要注意だ。「うちは永吉だけで手いっぱいだから、まだ次の子なんて考えられないですよ」「それはうちも同じことだよ」そんな話をしながら、子供たちの後ろについて小さな滑り台の近くに移動した。子供同士で遊んでくれるようになると楽で助かるが、万一に備えて、絶対にそばから離れてはならない。しばらく子供たちが遊ぶのを見ながら、いわゆる世間話をした。聞けば、小暮さんのご主人は有名家電メーカーの営業職で、残業や休日出勤が多く、あまり育児には協力的ではない……とのことだった。「初対面の人に言うのも何ですけど、うちのは家のことにも手を出さないんです。自分は外で働いて稼いできてるんだから、家のことや子供のことは、全部私に任せたって言うんですよ」次第に緊張がとれてきたのか、小暮さんの顔の赤みは薄らいでいき、言葉も滑らかに出てくるようになった。