tomorou019

NHK出版|WEBマガジン|主夫のトモロー page 3/14

電子ブックを開く

このページは tomorou019 の電子ブックに掲載されている3ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
朱川湊人「主夫のトモロー」:家事や育児を通じて“主夫”トモローが直面する苦悩と出会いの毎日を描く、現代の「イクメン・婚活ブーム」に一石を投じる、痛快家族小説。

に言葉を選んでいるころを見ても理解できる。「じゃあ、そこでコーヒーでも飲みましょうか」そのスーパーの端には、ちょっとした広さのフードコートがついていて、昼間に来ると、よく子連れのママさんたちが長々とおしゃべりをしている。今は中学生や高校生が多い時間だが、いつもより少なく感じるのは、試験期間だからだろうか。二人はそれぞれに買い物を済ませると、連れ立ってフードコートに向かった。 トモローはメニューを見ながら長考し、結局はオレンジジュースを一つ買って、チーコと二人で飲むことにした。ケチなのではない。今の時間にたくさん飲ませたりしたら、夕飯を食べなくなるからだ。商品を受け取って四人掛けの席に着くと、やはり小声で小暮さんが言った。「そんなところにまで気が回るなんて、斉藤さんって大したものですね。やっぱり、ノリコさんが言ってたとおり」ノンちゃんがどんなことを吹き込んだのかは知らないが、あまり褒められるのは得意じゃない。「ノリコさん、言ってましたよ……斉藤さんは、いつも子供のことを一番に考えているって。夜中に子供をカラオケに連れ出したら、ものすごいカミナリを落とされたとも言ってました」「カミナリなんて、とんでもない。やんわり注意しただけですよ」