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NHK出版|WEBマガジン|主夫のトモロー page 1/14

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朱川湊人「主夫のトモロー」:家事や育児を通じて“主夫”トモローが直面する苦悩と出会いの毎日を描く、現代の「イクメン・婚活ブーム」に一石を投じる、痛快家族小説。

「子育てしていると、いろいろあるわよねぇ」そう言いながら義姉のサナエが、できあがった料理をキッチンのカウンターの上に置いた。ダイニング側にいる美智子が、それをテーブルの上に運ぶ。「人によって考え方はいろいろだから、ぶつかることも多いし……だから、一人であれこれ考えちゃうタイプの人は大変よ」「そうですよね」 トモローはチーコを膝の上に乗せ、甥っ子たちとテレビゲームをしながら答えた。ついでにチラリと美智子の方を見やって、その手つきにハラハラする。(あぁ、俺がやっちゃいたい)どんな些細なことでも、馴れている人間とそうでない人間とでは動きに違いがある。単に料理を運ぶだけでも、ふだん家事をしていない美智子の手つきは、どことなくぎこちない。けれど、今は手を出すわけにはいかない。それは美智子の顔を潰すことになる。今日は甥っ子の裕也の誕生日だった。トモロー一家はそのパーティーに呼ばれてやってきトモローが風に歌ったワケ3