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NHK出版|WEBマガジン|主夫のトモロー page 13/14

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概要:
朱川湊人「主夫のトモロー」:家事や育児を通じて“主夫”トモローが直面する苦悩と出会いの毎日を描く、現代の「イクメン・婚活ブーム」に一石を投じる、痛快家族小説。

13ただガマンするだけなら、いつか欲求が爆発してしまう恐れもあるのだろうが、とりあえず喉の渇きは癒やしてあるので、うまく気持ちをすり替えることができるのだろう。(もしかすると、これって使えるかも)兄貴に見せつけるように二杯目のビールを飲みながら、トモローは思った。「この際、歌を歌ってみたらどうでしょうか」数日後、トモローは公園で会った小暮さんに言った。「は? 歌ですか」小暮さんは目を丸くして、トモローを見る。「どういうことです?」「自分が怒りそうだとか、つい誰かに手を挙げちゃいそうだと思った時、一曲歌うんですよ。それも、なるべく明るく楽しいヤツを」頭に血が昇ってキレそうな気持ちになった時、大きく深呼吸をしてみたり、何かを数えて冷静になるといい……と何かの本で読んだことがあるが、それを一歩進めて、明るい歌を繰り返し歌って、強引に気分を変えてしまおう……という作戦だ。「小学校で習った、『てのひらを太陽に』なんかいいと思うんですけど、どうですか」トモローは明るい声で歌ってみせた。すると、少し離れたところで砂遊びをしていたチーコとミエコちゃんが、こちらを向いて