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NHK出版|WEBマガジン|主夫のトモロー page 2/14

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概要:
朱川湊人「主夫のトモロー」:家事や育児を通じて“主夫”トモローが直面する苦悩と出会いの毎日を描く、現代の「イクメン・婚活ブーム」に一石を投じる、痛快家族小説。

たのだが、つい普通の家の感覚で、義姉が美智子に手伝いを頼んだのだ。トモローの家では、当然ながら家事は主夫たるトモローの仕事である。日頃やっている分、家事全般はトモローの方がうまい。美智子も昔は人並みにできたのだが(いや、母親にベッタリで育ってきたので、若干の難アリ……と評する方が正しいか)、トモローが主夫の経験値を上げていくにつれて、あまり手を出さなくなってしまった。それは一種の甘えなのかもしれないが、現時点ではざっくりと、家事はトモローの分担……ということにしておいてくれた方が気楽だった。どんなことでも自分でやってしまった方が速いし、なまじ手を出されると、自分の存在意義が薄れるような気がするからだ。トモローが夢を果たし、小説家として世に出ることができたら、その時にまた家事の分担比率を見直せばいい。けれど、台所仕事は女の領分と考えている義姉は、ごく当たり前に美智子に手伝いを、かつトモローには子供たちの面倒を見るように頼んだのだ。まさか断るわけにもいかず、自分の家とは反対の役割をすることになった。(ホントはゲームだって、ミッちゃんの方がうまいのに)そう思いながらトモローはコントローラーを操作したが、案の定、対戦ゲームで小学五年生に負けてしまう。「叔父さん、マジメにやってる? いくらなんでも、ヘタ過ぎるよ」「そう言うなって。アクションゲームは苦手だって言っただろ」