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NHK出版|WEBマガジン|主夫のトモロー page 8/14

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朱川湊人「主夫のトモロー」:家事や育児を通じて“主夫”トモローが直面する苦悩と出会いの毎日を描く、現代の「イクメン・婚活ブーム」に一石を投じる、痛快家族小説。

のくらいのことで怒るなんて〟って感じる場合もあるわけでしょ。そうなったら、もう自分の方の考え方や感じ方を変えるしかないじゃない」そこで義姉は、やはり甥の学校で起こった出来事を例として挙げた。なんでもPTAで同じ役員を務めている人の父親(つまり生徒の祖父だ)が、ある時、公園で一人の少年を何人もの少年が取り囲んでいるのに出くわしたのだそうだ。取り囲んでいる方の学年はバラバラのようだったが、取り囲まれている少年は二、三年生くらいで、どう見てもよってたかって一人に絡んでいるようだった。いくら何でも卑怯……と感じたその人は、そこに割って入り、もっとも学年が上の生徒を??りつけた。しかし、その生徒は「自分は見ていただけで、関係ない」と言い逃れしようとしたので、「一番年上なら、どうして止めないんだ」と、ついゲンコツを頭に落としてしまった。いかにも、昔の〝カミナリ親父〟がやりそうなことである。むろん、そんなに強いものではなかったはずだが、その少年にすれば、関係ないのに殴られたということが癪しゃくにさわったに違いない。家に帰った少年は、たまたま家にいた父親に言いつけ──その日の夕方、その男性の家に一家総出で押しかけたのだそうだ。少年の両親、高校生の兄、少年、さらに少年の小学二年の妹までいたというのだから、ちょっとすごい。「それで、どうなったんですか」「よくは知らないけど、警察を呼ぶの呼ばないのの騒ぎになったらしいわ。おじいちゃんには自分が間違ってるって自覚はないし、叩かれた子供の親にすれば、〝うちの子供に手を出