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NHK出版|WEBマガジン|主夫のトモロー page 9/14

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朱川湊人「主夫のトモロー」:家事や育児を通じて“主夫”トモローが直面する苦悩と出会いの毎日を描く、現代の「イクメン・婚活ブーム」に一石を投じる、痛快家族小説。

しやがって〟って気持ちだから、なかなか収まらないわよね」「でも……叩かれた子供が、他の子と一緒になって下級生をいじめていたのは本当でしょ?」「それだって、ただ見ていただけで関係ないって言い張ってるんだから」その子が一番ズルい気がするが、年上だからといって下の子を指導したりする義務はない……と言われれば、それまでのような気もする。「何とも嫌な話ですねぇ。それで、どうなったんですか」「結局、おじいちゃんが頭を下げて場を収めたみたい……そうでもしないと、いつまでも帰りそうもなかったからだって」何とも後味の悪い話だ。それにしても、家族総出で乗り込んでくるなんて、ある意味、仲のいい家族なのだろう。その団結の方向に、ちょっと誤りがある気がするが。「子供のことになると、見境がなくなる親って多いのよ。もしかすると、親の自分まで舐められたって感じているのかもしれないけど……でも、トモくんの知り合いの人だって、これと似たようなものでしょ? 昔いじめられて大変だったかもしれないけど、その加害者たちと自分の子にちょっかいを出す子供とは、違う人間なんだから」確かに義姉の言うとおりで──いくら小暮さんに辛い記憶があろうと、それと今の出来事を一緒にしてしまうのは、憎まれる方にすれば理不尽な話である。ある意味、彼女も〝困った親〟であることは間違いないだろう。