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NHK出版|WEBマガジン|主夫のトモロー page 10/16

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朱川湊人「主夫のトモロー」:家事や育児を通じて“主夫”トモローが直面する苦悩と出会いの毎日を描く、現代の「イクメン・婚活ブーム」に一石を投じる、痛快家族小説。

10「そうですけどね、その子の転び方が良くなかったみたいで……左腕を骨折しちゃったらしいんです」「えぇーっ?」聞けば聞くほど、事態は大きくなっていく。「それで近くにいた店員さんが駆けつけてきて、その子のお母さんを店内放送で呼んだそうなんですけど……お母さんが戻ってきてから、大騒ぎになったみたいですよ。とにかく、絶対に警察を呼べって言って、引かなかったそうです」「そりゃあ、子供にケガさせられたら、たいていの親は黙っていないよ……それで、小暮さんは?」「パトカーが来て、エミコちゃんと一緒に連れて行かれたそうです。たぶん今頃は、まだ警察にいるんじゃないですか」トモローは思わず受話器を握りしめたが、言葉が出てこなかった。もちろん小暮さんにも言い分はあるだろうし、その子供にだって、怒られる理由がある。けれど──ケガをさせてしまうのはまずい。こればかりは、弁護のしようがない。「小暮さんのダンナさん、土曜は家にいるのかな」「それはわかんないですけど、たぶん連絡は行ってるんじゃないでしょうか……携帯電話を持ってるはずですし」何にしても、これは小暮さんの家の問題で、ただの顔見知りに過ぎない自分が、しゃしゃ