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NHK出版|WEBマガジン|主夫のトモロー page 14/16

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概要:
朱川湊人「主夫のトモロー」:家事や育児を通じて“主夫”トモローが直面する苦悩と出会いの毎日を描く、現代の「イクメン・婚活ブーム」に一石を投じる、痛快家族小説。

14た。(そうだよ、しょせんは他人事さ)考えるともなく頭に浮かんでくる小暮さんの件を思い起こしながら、トモローは偽悪的に考えた。(そもそも、あの人も悪いんだ……ヤンチャそうな子供がいたら、ある程度のことを予想して、あらかじめ距離をとっておけばよかったのに、何をノンビリ構えてたんだか)そういう嗅覚は、子育てをしているうちに自然と身につくはずなのに、小暮さんはそうではなかったのだろうか。(おまけに運も悪いよな。あんなクッションに囲まれた場所で、どういう転び方をすれば骨折までしちゃうんだ……子供によっては、逆に面白がってゲラゲラ笑うぞ)それが極論だということはわかっていたが、心の中だけで思っていることなので、大目に見てもらおう。(だいたい自分が子供の頃にいじめられたからって、それをいつまでも引きずっているなんて……それもおかしいだろ)そう思った時、トモローは思わずブレーキを掛けて自転車を止めた。相手こそ違え、同じことをしていた自分が、そんなふうに考えるのは、あまりに図々しい気がしたからだ。自分だって、クラスメイトの女の子をバイキン呼ばわりしたことがある。それこそ武井が