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NHK出版|WEBマガジン|主夫のトモロー page 3/16

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朱川湊人「主夫のトモロー」:家事や育児を通じて“主夫”トモローが直面する苦悩と出会いの毎日を描く、現代の「イクメン・婚活ブーム」に一石を投じる、痛快家族小説。

「そりゃ、そうだよ……そういう経験の上に立って、後の人生が出来ちゃうわけだから」その流れでトモローは、自分が猿同然だった頃の苦い記憶を話した。ただの遊び感覚だけで傷つけてしまった同級生たち──あの子たちは今、幸せにやっているだろうか。その話をすると、武井は腕組みして答えた。「それを言われると、辛いッスよ……俺だって、そんな覚えは山のようにありますからね」「そうだろうなぁ」「えっ、何スか、その〝やっぱり〟って顔は」「いや、キミなら当然、あるだろうと思って」「ひでぇッスね。でも、まぁ、否定はしませんよ」砂場で遊ぶ我が子を眩しげな目で見つめながら、武井は言った。「俺もね、昔の友だちには、ひどいことをしたなって思うことがあります……俺、昔は人の気持ちなんか、ちっとも考えなかったんスよ。やっぱりガキだったんスね。友だちの見てく0 0 0れ0のこととか、ドン臭いこととか、平気で笑い者にしていましたよ。ほら、友だち同士でいる時は、どんなネタでも笑ったり騒いだりする方が面白いじゃないですか? 面白ければ、何でも、いいって感じで」テレビの俗悪なバラエティー番組などでも、そんな風潮があるように思える。「実は、俺が中学ン時……クラスに、ツギの当たった学ラン着ていたヤツがいたんスよ。腕のここのところに、けっこう目立つ感じで」