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NHK出版|WEBマガジン|主夫のトモロー page 5/16

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概要:
朱川湊人「主夫のトモロー」:家事や育児を通じて“主夫”トモローが直面する苦悩と出会いの毎日を描く、現代の「イクメン・婚活ブーム」に一石を投じる、痛快家族小説。

同級生の笑い者になってるって知ったら、どんなに悲しくなったでしょうね。それを思うと……俺は」そう言った瞬間、武井の目から本当に涙が零こぼれたので、トモローは大いに慌てた。「ちょっと、武井さん、大丈夫ですか」「大丈夫ッスよ……でも、あいつには、本当に悪いことを言ったと思ってるんスよ」武井は?に流れた涙の筋を、手の甲で乱暴にぬぐった。「そういうことがわかるようになったのは、永吉が生まれてからですねぇ……あの子のおかげで、俺、いろいろな意味で大人になりましたから」それはトモローも同じことだった。チーコが生まれた時、一緒に親としての自分たちも生まれたのだ……と美智子は言っていたが、まったく、そのとおりだ。それまでは、少しくらいの道の悪さも気にならなかった。自分の脚は丈夫で歩幅も大きいから、段差だのデコボコも、何とも思わなかったのだ。また、道路を走る自動車の運転の荒っぽさに気を留めることもなかった。自分が歩くのに不自由がなければ、どうでもいいとさえ思っていた。けれど、チーコの父親になってから──今まで見えなかったものが、たくさん見えてくるようになった。ベビーカーを押していると、段差や凸凹が直接手に伝わってくる。また、チーコを少し歩