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NHK出版|WEBマガジン|主夫のトモロー page 8/16

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朱川湊人「主夫のトモロー」:家事や育児を通じて“主夫”トモローが直面する苦悩と出会いの毎日を描く、現代の「イクメン・婚活ブーム」に一石を投じる、痛快家族小説。

ら聞こえてきた。「トモローさん、大変ですよ!」その声を耳にした時、なぜかトモローは、すぐに小暮さんの顔を思い出した。どうしてかはわからないが、きっと彼女に関わりのある話に違いない……と思えたのだ。「詳しいことはわからないんですけど、今日、小暮さんが警察に連れて行かれたらしいですよ」「警察に?」思っていたより話が大きくて、思わず息を?む。「どういうこと? 何か悪いことでもしたの?」「私も今、友だちから聞いたばかりなんですけど……今日の夕方、駅前のスーパーの子供コーナーで、遊んでいた子供を突き飛ばしちゃったらしいんです」その子供コーナーの様子を思い浮かべながら、詳しい事情を尋ねた。「細かいことは私にもわからないんです。ただ、その場に居合わせたっていう友だちの話だと、相手は五歳くらいの男の子らしいです。けっこうヤンチャに遊んでたみたいですけど、その子がエミコちゃんのお腹を蹴っ飛ばしたんですって……それも、けっこう強く」「あぁ……」話を聞きながら、トモローは思わず呻うめいた。その光景が、まざまざと見えるような気がする。