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NHK出版|WEBマガジン|主夫のトモロー page 1/16

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概要:
朱川湊人「主夫のトモロー」:家事や育児を通じて“主夫”トモローが直面する苦悩と出会いの毎日を描く、現代の「イクメン・婚活ブーム」に一石を投じる、痛快家族小説。

さわやかな秋晴れの午後、トモローは落ち込んだ。(何回見ても……ない)書店の雑誌売り場で、トモローが目を皿のようにして眺めていたのは、ある文芸誌の新人賞選考中間発表のページである。そこには八十人ばかりの応募者の名前と作品が並んでおり、一次予選通過者は細字で、その中から二次選考に進んだ通過者の名前は太字で印刷されていたが──残念ながらトモローの名前は、どちらにもなかった。(一次も通過できなかったのかよ……)その新人賞は原稿用紙百枚を上限にした短編小説の賞だが、応募した作品は、正直なところ、完璧だと胸を張って言えるような出来ではなかった。締め切り間際に慌てて仕上げてしまった部分もあるし、まったく推敲も足りていなかったと思う。本来なら応募を見送り、さらに磨きをかけるべきレベルだったが、それでもトモローは投稿してしまったのだ。「トモくん、どうだった?」ガックリと肩を落としているところに、チーコの手を引いた美智子がやってきた。トモローが揺れちゃったワケ1