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NHK出版|WEBマガジン|主夫のトモロー page 11/16

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概要:
朱川湊人「主夫のトモロー」:家事や育児を通じて“主夫”トモローが直面する苦悩と出会いの毎日を描く、現代の「イクメン・婚活ブーム」に一石を投じる、痛快家族小説。

11けれど、そんな楽しい時間が終わってしまったのは、やはりトモローが男性で、彼女が女性だったからである。こちらには何一つ疚やましいことがなくても、その様子を見た人たちが、勝手に良からぬ想像を働かせてしまうのだ。もちろん、こちらに落ち度はないのだから、想像したい人にはさせておけばいいのだが──それがくだらない噂になって流れてしまったとなれば、話は別だ。何でもメグちゃんママの旦那さんは頭の固い人らしく、そんな噂が何かの拍子に耳に入ってしまったら、かなり面倒なことになりそうだった。だからメグちゃんママは、アッサリとトモローとの付き合いをやめてしまったのである。思えば、今はノンちゃんと平気で一緒に歩いたりしているが──それはやはり、夫である武井とも付き合っているからだろう。そうでなければ、同じような噂を流されていたかもしれない。「チーちゃんパパ、今、少し時間ある? 久しぶりに会ったんだから、そこでコーヒーでも飲まない? ちょっと聞いてもらいたいこともあるし」そう言いながらメグちゃんママは、すぐ近くのコーヒースタンドを指さした。「それはいいですけど……大丈夫ですか? 僕と二人でコーヒーなんか飲んで」また誰かが火のないところに無理に煙を立てるようなことになったら、迷惑が掛かってしまうのではないか。「あぁ、そんなこと、もう全然、気にしてないわよ」