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NHK出版|WEBマガジン|主夫のトモロー page 3/16

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朱川湊人「主夫のトモロー」:家事や育児を通じて“主夫”トモローが直面する苦悩と出会いの毎日を描く、現代の「イクメン・婚活ブーム」に一石を投じる、痛快家族小説。

として立つためには、まだまだ道は遠いような気がする。そもそも本当に才能のある人は、二、三回の投稿で(場合によっては、たった一回で)、素晴らしい結果を出しているのではないかと思う。(ホントに小説家になんかなれるのかな……俺)悲惨な結果を前にトモローは思ったが──その日の夜、チーコが寝付いてから、つい美智子の前で、その不安を口に出してしまった。「自信なくしちゃうのはわかるけど、しょうがないところもあると思うよ」ボリュームを絞って見ていたテレビを消して、美智子は言った。「だってトモくん、家のことを全部やって、チーコの面倒も見て……その間の空いた時間に小説を書いてるんでしょ。けっこう、キツいんじゃないの?」「まぁ、次から次に、ポンポン書くってわけにはいかないね」「そうでしょ? それなのに、ちゃんと投稿を続けてるんだから、大したものよ」そう言ってくれるのはありがたいけれど──投稿さえしていればいい、というわけでもない。やはり、それなりの結果を出さなくては。「小説の新人賞のことは、私にはよくわかんないけど……あえてアドバイスめいたものをするなら、応募する回数を減らしてみたらどうかしら」しばらくトモローの主夫ぶりを褒めた後、美智子は言った。「応募を減らす?」