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NHK出版|WEBマガジン|総理にされた男 page 3/16

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中山七里「総理にされた男」:首相官邸に連行された売れない役者に待ち受ける衝撃的な依頼。理想と現実、うずまく陰謀……。政治をめぐるエンターテインメントサスペンス!

に、女房を働かせたら男の沽こ券けんに関わるって考えるタイプみたいなんだ」「まぁ、考え方は、人それぞれだからね」本当に、このあたりについての意見は千差万別で──女性もどんどん社会進出するべきだとか、家庭の安定には専業主婦の存在が不可欠とか、いろいろな人が、それぞれの意見を主張している。得てして声の大きい方、切り口が目新しく見える方の意見に分があると考えられてしまいがちだが、そんなのは、各々の家庭の事情によって違うのではないか……と、トモローは思っていた。どの主張にも一長一短があるのは、何もこの問題に限った話ではない。それこそケース・バイ・ケース、それぞれの家庭で話し合って決めればいいことだ。メグちゃんママの場合──特に贅沢しなければ、サラリーマンである旦那さんの収入で十分にやっていけるらしい。だから彼女が働きに出ようとした時に、かなりの悶着があったそうだ。「俺が甲斐性ナシだと思われるじゃないか……って言い出された時には、ちょっとばかり絶望的な気持ちになったわね」夕方、コーヒースタンドで話を聞いた時、メグちゃんママは憤慨して言っていたものだ。「今どき、奥さんが働いてる家なんか、珍しくも何ともないのに……たぶん旦那は、私が自分の掌から飛び出ちゃうのが、気に入らないんだわ」「はぁ……」トモローはメグちゃんママの旦那さんに会ったこともないので、そんな気の抜けた返事を