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NHK出版|WEBマガジン|主夫のトモロー page 14/16

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朱川湊人「主夫のトモロー」:家事や育児を通じて“主夫”トモローが直面する苦悩と出会いの毎日を描く、現代の「イクメン・婚活ブーム」に一石を投じる、痛快家族小説。

14「でもさ、兄貴……オフクロだって、一人だったわけじゃないんだろ」「杉田のおばさんの話しだと、俺たちには弟と妹がいるみたいだ……しかも妹の方は、まだ女子高生だってよ」「どうして、そこで変な笑いを浮かべるんだよ」「えっ、別に浮かべてねぇよ。ただ、そういうのって面白くないか? もう一人の弟に妹だぜ……いきなり、兄弟が増えてやんの」まったく兄貴は?気だ……と思いながらも、トモローも不思議なくすぐったさを感じた。半分しか血が?がっていないとはいえ、自分に弟や妹がいるなんて──何とも奇妙な感じがする。(でも、できれば、会いたくないなぁ)ゴローと話しながら、トモローは思った。ほとんど記憶のない人を、いきなり母親だと言われても、まったくピンと来ない。会ったことのない人間を、兄弟と思うこともできない。「……チーちゃんパパ」突然声を掛けられて、我に返った。「今、すごく難しそうな顔をしていたけど……いったい何があったの?」どうやら自分は、難しい顔をしていたらしい。やれやれ、この歳になっても、親に振り回されるなんて。