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NHK出版|WEBマガジン|主夫のトモロー page 2/16

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朱川湊人「主夫のトモロー」:家事や育児を通じて“主夫”トモローが直面する苦悩と出会いの毎日を描く、現代の「イクメン・婚活ブーム」に一石を投じる、痛快家族小説。

2れない限り、こちらからの口出しは無用のように思えたからだ。そう思っていた矢先、トモロー自身の身の上に、思ってもみなかった激震が訪れた。十二月に入って、大手スーパーの入り口近くに、大きなクリスマスツリーが飾られるようになった頃のことである。その電話を受けたのは土曜の午後で、ちょうどチーコは昼寝をしていた。会社が休みだった美智子と午前中いっぱい公園を走り回って遊んだせいで、昼ご飯もほどほどに寝入ってしまったのだ。二人でチーコの寝顔に見入った後、いつものように台所に移動して、かねてから頭を悩ませていた事案について話し合った。それは、砕いて言えば〝サンタ・クロース問題〟である。「やっぱりプレゼントが三つっていうのは、多いと思うのよ。チーコにとって、いいことじゃないような気がする」「でも、クリスマスなんだし……少しくらい、大目に見てあげてもいいんじゃないかなぁ」「ダメよ。いっぺんに三つもオモチャをもらったら感動が薄れちゃうし、物を大切にしなくなるわ」「でも、うちにだけサンタが来ないっていうわけにも……」「だからプレゼントは、サンタさんからのだけでいいんじゃないかしら」「じゃあ、お義父さんたちからのは、どうするのさ?」「この際、お正月に回してもらうとか」