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NHK出版|WEBマガジン|主夫のトモロー page 4/16

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概要:
朱川湊人「主夫のトモロー」:家事や育児を通じて“主夫”トモローが直面する苦悩と出会いの毎日を描く、現代の「イクメン・婚活ブーム」に一石を投じる、痛快家族小説。

4そうなると、サンタをどう扱うか……ということが、重要な問題になってくる。初めから自分たちからのプレゼントはなくし、サンタからのものだけにするか。あるいは自分たちからのものは安価なもので済まし、サンタからのものを豪華にするか──けれど、その場合、お義父さんたちからのプレゼントが豪華だった場合(完全に孫かわいさで吹っ切れてしまっているので、その可能性が高い)、親としては少々、面白くない気持ちになってしまうだろう。要は、誰もがチーコの喜ぶ顔が見たいだけなのだが、教育的なことを配慮すれば、なぜだか面倒くさいことになってしまうのだ。「早い話、お義父さんやお義母さんに花を持たせてあげるんだ……と、俺たちが思えるようになれば、何の問題もないんだよね。まぁ、俺は、それでもいいけど」「えーっ、私はイヤだよ。やっぱり、私たちからのプレゼントを、一番喜んでほしいなぁ」美智子が明らかに矛盾したことを口走り、話は堂々巡りになる。(こりゃあ、結論なんか出そうにないな)チーコを産んでからの美智子は、何かにつけて、お義母さんと対立することが増えていた。実の親子なのに、どうして……と、トモローが思うことも少なくなかったが、実の親子だからこその感情の軋あつ轢れきもあるのだろう。チーコが大きくなるにつれて少しはマシになっていたが、やはり完全には消えていないようだ。正直なところ、少し面倒くさいと思わないでもない。