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NHK出版|WEBマガジン|主夫のトモロー page 7/16

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朱川湊人「主夫のトモロー」:家事や育児を通じて“主夫”トモローが直面する苦悩と出会いの毎日を描く、現代の「イクメン・婚活ブーム」に一石を投じる、痛快家族小説。

7「チーちゃんパパから電話が来るとは思ってなかったから、ビックリしちゃった」時間どおりにコーヒーショップに来たメグちゃんママは、以前よりも親密な口調で言った。「仕事先に電話するのは失礼かと思ったんですが……すみません、どうしても会社の件がどうなったのか、聞いておきたくて」今回は、メグちゃんママの旦那さんはもちろん、美智子にも内緒なので、わずかながら後ろめたさのようなものも感じる。ちなみにチーコは、急用ができたからと言って、お義母さんに見てもらっている。「その後、旦那さんとの話し合いは進みましたか?」会社帰りのメグちゃんママは、前と同じようなスーツ姿だったが、どことなく華やかな印象になっていた。化粧の仕方と髪型が、少し変わっているのだ。「それが、全然なのよ。もう完全に、聞く耳持たないって感じで……とても話し合いになんか、ならないわ」コーヒーカップに口をつけた後、メグちゃんママは、頭を振りながら答えた。「そうですか……じゃあ、もしかすると、この間言っていたようなことが、現実のものになるかもしれないんですね」「その可能性も、ゼロじゃないわ」メグちゃんママのその言葉を、トモローは鼻で笑った。「外野の僕が口を挟むことじゃありませんけど、やっぱり起業なんて、やめた方がいいん