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NHK出版|WEBマガジン|主夫のトモロー page 7/14

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朱川湊人「主夫のトモロー」:家事や育児を通じて“主夫”トモローが直面する苦悩と出会いの毎日を描く、現代の「イクメン・婚活ブーム」に一石を投じる、痛快家族小説。

7情しなくてもいいのではないだろうか。トモローがそう言うと、ゴローは静かに頭を横に振った。「いや、その子がかわいそうだっていうのもあるけど……泣けてくるのは、あんまりオフクロたちが身勝手だからだよ。どうして子供だからって、こんなに振り回されなくっちゃなんねぇんだ」「どうかしたのかい」「トモロー、おまえ……会いに行きたくなかったら、行かなくてもいいぞ。いや、行かない方がいい。おまえは神経が細いから、俺より深く傷つくだろう」いったい、どういうことなのだろう──あの兄貴が、ここまで言うなんて。「実はな……オフクロが俺たちを呼んだのは、相続の件があるからなんだよ」「相続?」「よくはわかんねぇんだけど、もしオフクロが死んだら、オフクロ名義の財産は、俺たちにもいくらか相続する権利があるんだってよ……で、ホテルやら家やら、他のこまごましたヤツも入れて、財産のほとんど全部がオフクロ名義なんだとさ」ホテルそのものはジイちゃんが創業したものらしいから、その死後に娘であるオフクロが、そのまま相続したことは十分に考えられる。オフクロの死後、それが丸ごと転がり込んでくるようなことはないとは思うが──正直なところ、何だか面倒くさそうな話だ。そんな〝棚から牡ぼ丹た餅もち〟を期待する気はないし、でき