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概要

朱川湊人,主夫のトモロー,家族小説,NHK出版,WEBマガジン,イクメン,斉藤知朗,花まんま,直木賞

1ただ生きているだけで、毎日いろいろなことがある。思いがけないところからボールが飛んできたり、足元に突然水たまりが出現したり──それこそ反射神経を試すゲームみたいに、突発的なことの連続だ。つつがなく日々を送るだけでも手いっぱいなのに、そんな予定外のことが起きれば、いろいろなところにしわよせが来るのは仕方のないことだろう。会社を辞めて以来、専業主夫0 0 として家事と育児に専念してきたトモローだったが、例のメグちゃんママの一件が一応の決着を見た数週間後、ちょっとした転機を迎えることになった。「トモくん……ちょっと相談したいことがあるの」いつものようにチーコが寝ついてから、美智子が台所に入ってきて言った。トモローは小さなテーブルでワープロに向かっている最中だった。「どんなこと?」ワープロの画面から目を離さずにトモローが答えると、美智子は少しだけ声を潜めた。「あ、ノッてるところなんだ。ごめんね」トモローが走って走って走るワケ1