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概要

朱川湊人「主夫のトモロー」:家事や育児を通じて“主夫”トモローが直面する苦悩と出会いの毎日を描く、現代の「イクメン・婚活ブーム」に一石を投じる、痛快家族小説。

10そう言ってゴローは、なぜかトモローの肩甲骨を裏拳で殴った。結構クリアにヒットし、トモローは息が詰まるほど身悶えしたが、それを横で見ていた義姉が、呆れたような顔をしていた。「あんたたちって、いくつになっても小学生みたいね」「いやいや、兄貴がバカなんですよ」「うちのがバカなのは知ってるけど、トモローくんだって相当なものよ」そう言われてしまっては、返す言葉がなくなってしまう。「それでオフクロ、何だって?」「よくわかんないけど、俺に悪かったとか何とか……変なことを言っちゃったけど本気じゃないとか、許してほしいとか言ってたな」「ふーん、どうしたんだろうね、急に」しらばっくれた顔をしながら、どうやら自分の言い分がわかってもらえたらしいと、トモローは思った。一月上旬に母親と会い、その何週間後に兄貴の元に電話をしてきたということは、母親もそれなりに時間をかけて、自分たちの不幸な親子関係について考えを巡らせてくれたらしい。自分が帰ってきてすぐに電話があったというならウソっぽくも感じただろうが、それなりの時間を置いているところに、真実味がある。「もう少ししたら、今度は二人で行ってみないか」