ブックタイトルNHK出版｜WEBマガジン｜主夫のトモロー

概要

朱川湊人「主夫のトモロー」：家事や育児を通じて“主夫”トモローが直面する苦悩と出会いの毎日を描く、現代の「イクメン・婚活ブーム」に一石を投じる、痛快家族小説。

12ある時、仕事が終わってお迎えに行くと、二人はまるで姉妹のように、睦まじく遊んでいたのだ。「二人は本当に、仲がいいんですよ」それを見ていたトモローに、先生が近づいてきて言った。「アイコちゃんも前より落ち着きましたし……チサトちゃんも、楽しそうにしています」その時、チーコがトモローに気付いて、立ち上がって駆け寄ってくる。なぜか、ついでにアイコちゃんも。「パパ、おかえりっ！」「チサトちゃんのパパ、おかえりっ！」実はトモローは、子供たちの間では、なかなかの人気者だった。単純に保育園に来る父親が珍しいだけだが、煙たがられるよりは、遥かにいい。お母さんたちの間では、まだ得体のしれない人物と考えられているようだが、きっとそのうち馴れてもらえるだろう。「チーコ、ただいま！　アイコちゃんも、ただいま！」そう言って二人一緒に抱き上げると、チーコもアイコちゃんも声を立てて笑った。「二人とも、今日も、いっぱい遊んだかい？」「アイコちゃんと、ブロックしたよ」「チサトちゃんと、カケッコしたよ」?んだことも?まれたことも、すっかり二人の頭の中からは消え去っているようだ。きっ